なぜ今パスワードからパスキーへ?Googleが20億人に警告する理由
Googleは現在、全世界で約20億人に上るGmailユーザーに「パスワードの時代は終わった」と警告し、パスキーへの切り替えを強く推奨しています。実際、Forbesは「Googleが20億人のユーザーに『今すぐパスワードをパスキーへ切り替えるよう勧告』」と報じ(Forbes(フォーブス))、FIDO AllianceやTechloyなど複数の専門メディアも、Googleがパスキー移行を「かつてない規模で呼びかけている」と伝えています。
【出典】Forbes:Replace Your Gmail Password Now, Google Tells 2 Billion Users – Forbes(2025年6月16日)
この背景には、16億件以上のパスワード流出や高度化するサイバー攻撃のリスクがあり、従来のパスワードや2段階認証だけでは個人情報を守り切れなくなってきた現実があります。本記事では、なぜGoogleがここまで“パスキー移行”を訴えるのか、その理由と、誰でも簡単にできる導入方法・安全な運用ポイントまで、わかりやすく解説します。
Googleパスキーとは?パスワードレス時代の本命認証
Googleが強く推奨する「パスキー」は、これまでのパスワード管理の常識を大きく変える、新しい認証方式です。従来のパスワードや2段階認証とは何が違うのか、どのような特徴があるのかを分かりやすく解説します。
パスワード不要の「パスキー」とは?仕組みと特徴
Googleパスキーは、これまでのパスワードに代わる全く新しいログイン認証技術です。最大の特徴は「パスワードを一切使わず、スマートフォンなどの生体認証(顔認証・指紋認証など)だけで本人確認ができる」点にあります。
Google公式情報:Google アカウントにログインするための最も簡単で最も安全な方法
パスキーは、指紋や顔などユーザー固有の生体情報を利用して本人認証を行い、そのデータは外部サーバー(Google側)に送信されず、デバイス内で安全に管理されます。これにより、パスワードの漏洩やフィッシング詐欺、情報窃取マルウェア(インフォスティーラー/詳細は本記事後半で解説)による被害を根本から防ぐことができる画期的な技術です。
パスワードや2段階認証との違い
従来のパスワード認証は、複雑な文字列の管理や定期的な変更などユーザーの負担が大きく、流出や推測による被害リスクも常にありました。さらに、2段階認証もSMSや認証アプリの仕組みを悪用されるなど、万能とは言えませんでした。
一方、パスキーは「生体認証+デバイス」そのものが“カギ”になるため、パスワードの入力・管理が不要です。仮にログイン情報が盗まれても、他人がなりすますことは極めて困難です。Googleの検証でも、従来の2段階認証よりさらに高い安全性と利便性が実現できると評価されています。
なぜ今パスキーが本命なのか
パスワード流出やサイバー攻撃が社会問題となる中、Googleが正式に「パスキー導入」を全ユーザーに推奨したことで、この技術は「パスワードレス時代の本命」として注目を集めています。利便性と安全性を両立できるため、今後はGoogleアカウントだけでなく、さまざまなWebサービスやアプリでも普及が進む見通しです。
Googleパスキーの設定方法|スマホとPCで簡単導入
パスキーの導入は、難しい専門知識がなくても誰でも簡単に始められます。ここでは、Googleアカウントでパスキーを利用するために必要な環境や、実際の設定手順をスマートフォンとPCの両方から詳しく解説します。
設定に必要な環境(OS・デバイス・アカウント)
パスキーの設定を行うには、以下の環境が必要です。
- Googleアカウント:GmailやYouTubeなど、Googleサービスにログインしているアカウント
- スマートフォン:
- iPhone:iOS 16以上
- Android:Android 9以上
- どちらも生体認証(顔認証・指紋認証)が有効になっていること
- パソコン(PCでの利用の場合):
- Windows 10以上、またはmacOS
- ChromeやEdgeなど、最新バージョンのブラウザ推奨
※Googleアカウントを複数端末で使う場合、パスキーの同期設定が必要になる場合があります。
スマホ(iPhone/Android)での具体的な手順
- Googleアカウントにアクセス
スマートフォンのブラウザから「Googleアカウントの管理」を開きます。 - 「セキュリティ」タブに移動
画面上部の「セキュリティ」タブを選択します。 - 「Googleにログインする方法」>「パスキー」を選択
「パスキー」または「ログインの追加」から、パスキーの設定画面へ進みます。 - 「パスキーを作成」をタップ
スマートフォンの生体認証(顔・指紋認証など)を求められるので、そのまま認証します。 - 設定完了
以降、Googleアカウントのログイン時にはパスワード不要で生体認証が使えるようになります。
補足
- iPhoneやiPadなど複数のApple製品を利用している場合は、一度登録すればiCloudキーチェーンを通じて他端末でも利用可能です。
- Android端末は、端末ごとにパスキー登録が必要になる場合があります。
Google公式情報:
PCログイン時のQRコード認証の流れ
PCからGoogleアカウントにログインする場合、パスワードを入力せずにパスキーを使うには次の流れになります。
- Googleアカウントのログイン画面で「パスキーでログイン」を選択
- PC画面に表示されたQRコードをスマートフォンで読み取る
Googleアカウントのパスキー設定済みスマホでカメラを起動し、QRコードをスキャンします。 - スマホで生体認証を行う
顔認証や指紋認証が成功すれば、PC側のログインも完了します。 - パスワードは不要
この方法を使えば、キーボードからパスワードを入力することなく、安全かつ簡単にGoogleサービスへアクセスできます。
Google公式情報:【パソコン】Chrome でパスキーを管理する
安全に使うための運用ルールと注意点
パスキーは非常に安全性の高い認証方式ですが、「設定したからもう安心」と油断せず、普段の使い方やセキュリティ設定でもう一歩気を配ることで、より強固にアカウントを守ることができます。ここでは、実際に気をつけたい運用ルールや、見落としがちな注意点をまとめます。
フィッシング対策としてのパスキー活用法
パスキー最大のメリットは、フィッシング詐欺に強いことです。パスワード認証では、偽サイト(フィッシングサイト)でID・パスワードを盗まれてしまうリスクがありましたが、パスキーでは次の点が大きく違います。
- 偽サイトではパスキーを使った認証ができない
本物のGoogleサイトだけが正しくパスキー認証を要求できるため、偽のログインページではパスキーを使ったログイン自体が不可能です。 - パスワード入力の必要がない
「パスワードを要求される画面」自体が怪しいサインと気づけます。
ワンポイント:
パスキーを設定している場合、「Googleのログイン画面でパスワード入力欄が表示されたら要注意」。その画面は本物か、しっかりURL(ドメイン)を確認しましょう。
2段階認証・SMS認証との併用はどうする?
パスキーがあれば、原則として2段階認証(2FA)やSMS認証は不要ですが、「念のための多重防御」を好む人も少なくありません。
- パスキー+2段階認証の設定も可能
Googleアカウントでは、パスキーのほかに2段階認証(SMSや認証アプリ)を併用できます。
例:何らかの理由でパスキーが使えないとき、バックアップコードや認証アプリを使って復旧できます。 - おすすめの運用
パスキー設定後も「バックアップコード」「再設定用メール・電話番号」など、アカウント回復用の手段は必ず用意しておきましょう。これにより、スマホ紛失や機種変更時も安心です。
「パスワード入力画面」の出現は詐欺かも?見分けるチェックポイント
パスキーを有効にしたGoogleアカウントに、突然「パスワードの入力」を求める画面が表示された場合は要注意です。
- 見分けるポイント
- 公式サイト(https://accounts.google.com/など)かどうか、アドレスバーを必ず確認
- 不自然な日本語やデザイン崩れがないかチェック
- 通常のログインフローなら「生体認証」だけで完了するはず
- 不安な場合の対処法
- その場でパスワードを絶対に入力しない
- ブラウザを閉じて、Google公式サイトから再ログイン
- もし情報を入力してしまった場合は、すぐにパスワード変更&アカウントのセキュリティチェックを実施
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インフォスティーラーとは?被害事例と感染対策
近年、パスワードやクレジットカード情報の大規模流出事件の背景には、「インフォスティーラー」と呼ばれる情報窃取型のマルウェアが深く関与しています。このセクションでは、どんな手口で私たちの個人情報が盗まれ、どうすればその被害を防げるのかを解説します。
【出典】:Bitsight 「Stealer Malware Exposed: The Key Suspect in Identity Credential Theft」
パスワード・クレカ情報はどう盗まれる?
インフォスティーラーは、パソコンやスマートフォンに密かに侵入し、保存されているID・パスワードやクレジットカード情報、ブラウザの自動入力データなどを抜き取る悪質なマルウェアです。
その主な感染経路・手口は以下の通りです。
- メールの添付ファイルや偽装リンク
不審なメールやSMSに添付されたファイル・リンクを開くと、インフォスティーラーが自動的にインストールされます。 - フリーソフト・海賊版ソフトのダウンロード
出所不明なフリーソフトや違法コピーのアプリ・ゲームにもウイルスが仕込まれていることがあります。 - 偽サイト(フィッシングサイト)へのアクセス
本物そっくりの偽サイトでIDやカード情報を入力してしまうと、すべて盗まれる危険があります。
一度感染すると、ブラウザやアプリに保存されたログイン情報・クレカ情報、さらには画面のスクリーンショットや認証セッションまでもが盗み取られるケースも報告されています。
国内でも大手証券会社やECサイトで、こうした手口によるアカウント乗っ取りや不正送金の被害が実際に発生しています。
スマホ・PCでの感染防止の基本ルール
インフォスティーラー被害を防ぐには、「怪しいものには近づかない」「セキュリティ対策を万全に」が鉄則です。主なポイントは以下の通りです。
- 公式ストア以外からアプリを入れない
スマホの場合は、Google PlayやApp Store以外のアプリ配布サイトから絶対にダウンロードしないこと。 - メールやSNSの不審な添付ファイル・URLは絶対に開かない
知らない相手・内容が怪しいメールは開封せず削除が安全です。 - OS・アプリ・ブラウザは常に最新状態に
アップデートを怠ると、古い脆弱性を突かれて感染しやすくなります。 - Windowsのセキュリティ設定を有効に
標準のウイルス対策ソフト(Windows Defender等)や「アプリとブラウザー コントロール」などを必ずONにしておきましょう。 - ブラウザに保存したパスワードは定期的に見直し・削除
インフォスティーラーが盗めるのは「ブラウザに保存されている情報」なので、不要なID・パスワードは削除し、できるだけGoogleパスキーなど安全な方式へ移行するのがおすすめです。
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まとめ|今すぐパスキーに切り替えて、安全なログイントリガーを手に入れよう
本記事では、Googleが全世界20億人に呼びかけている「パスワードからパスキーへの移行」について、その背景や理由、設定手順、インフォスティーラー対策までわかりやすく解説しました。
パスキーは、パスワード流出やフィッシング詐欺といった従来の脅威からあなたの個人情報を守る、次世代の“安全・簡単”な認証技術です。
Google公式も強く推奨していることから、今後はGoogleアカウントだけでなく多くのWebサービスで「パスワード不要の時代」が加速していくでしょう。
もしまだパスキーを設定していない場合は、今すぐ自分のGoogleアカウントで「パスキーの設定」から導入をおすすめします。設定はスマホ・PCどちらでも簡単に行えますし、複数端末でも利用できます。
また、セキュリティ強化のためには、「バックアップコードの発行」「アカウント回復用のメール・電話番号の登録」も忘れずに。
万が一のときでも、あなたの大切なデジタル資産を守る“最強の盾”になります。
これからの時代は、「パスワードに頼らない新しい安全性」が当たり前になります。
ぜひ本記事を参考に、あなたのアカウント管理を一歩進化させてください。
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