乾燥方式の違いとは?ヒートポンプ式とヒーター式の基本構造
ドラム式洗濯機には大きく分けて「ヒートポンプ式」と「ヒーター式」という2種類の乾燥方式があります。
仕組みや熱の発生方法が異なることで、乾燥性能や電気代、衣類へのやさしさにも差が出ます。ここではまず、両者の基本構造について見ていきましょう。
💡補足:最近では、ヒートポンプ式にヒーターを組み合わせた「ハイブリッド式」も登場しています。これはヒートポンプの省エネ性に、仕上がり向上を補うヒーターを併用するもので、シャープやAQUAの一部モデルに採用されています。
ヒートポンプ式の仕組み
ヒートポンプ式は、空気を除湿しながら温風を循環させて乾燥させる方式です。
構造はエアコンに近く、熱交換器で空気を冷やして水分を取り除いたあと、再び温めて循環させる仕組みです。
この熱を効率よく再利用することで、消費電力を抑えながら乾燥が行えます。
ヒーター式の仕組み
ヒーター式は、ヒーターで加熱した高温の空気をドラム内に送り込み、衣類を乾かす方式です。
高温で一気に乾燥させるため、乾燥温度は機種によっては100℃近くまで上昇することもあります。
しっかりと乾かすことができますが、高温による衣類の傷みや縮みに注意が必要です。
ハイブリッド式の仕組み
ハイブリッド式は、ヒートポンプ式の省エネ性能とヒーター式の速乾性の両方を兼ね備えた乾燥方式です。
ヒートポンプでじっくり低温乾燥しながら、必要に応じてヒーターを補助的に使うことで、乾燥立ち上がりの速さやタオルのふわふわ感を高めつつ、電気代も抑えられます。
シャープの「ハイブリッド乾燥 NEXT」やAQUAの一部モデルに採用されており、温湿度センサーやAI制御と併用することで、乾燥効率と仕上がりのバランスを最適化しています。
💡ドラム式洗濯機をこれから選ぶ方はこちらもチェック
▶ドラム式洗濯機のおすすめ10選|選び方・後悔しないポイントを徹底解説
電気代・ランニングコストの違い
電気代は、多くのユーザーにとって選定基準のひとつです。
ここでは1回あたりの使用コストと年間ランニングコストの違いを比較していきます。
ヒートポンプ式は省エネで年間コストを抑えられる
ヒートポンプ式は、熱を循環させる効率的な仕組みにより、1回あたりの電気代はおよそ20〜30円前後に抑えられます。
使用頻度が高い家庭では、年間数千円単位での節約が可能で、長期的に見てお得といえます。
なお、同じヒートポンプ式でもメーカーによって消費電力量には差があり、シャープは特に電気代が安い傾向にあります。
一方で、東芝の一部モデルではやや電気代が高めに出るケースもあり、実際のスペックや効率センサーの有無などを確認するのがおすすめです。
ヒーター式は速乾だが電気代が高め
ヒーター式は高温で一気に乾かす分、1回あたりの電気代は50〜70円ほどとやや割高です。
短期間で乾かしたいというメリットはあるものの、長期的には光熱費がかさむ可能性があります。
また、小型のヒーター式モデル=省エネとは限りません。
コンパクトな分、乾燥効率が低く運転時間が長引く傾向もあるため、結果的に電力消費が多くなる可能性があります。
ハイブリッド式は電気代と仕上がりのバランス型
ハイブリッド式は、ヒートポンプ式に補助的なヒーターを組み合わせた方式です。
乾燥の後半にヒーターを使って仕上げることで、タオルのふんわり感や除菌性能を補いながら、電気代をヒーター式より抑えられるのが特徴です。
1回あたりの電気代はヒートポンプ式よりやや高めですが、ヒーター式よりは低く、ランニングコストと仕上がりのバランスが取れた方式といえます。
シャープやAQUAなどがこの方式を採用しています。
乾燥時間と仕上がりの違い
ドラム式洗濯機を使う上で、乾燥時間や仕上がりの質は大切なポイントです。
ここでは、ヒートポンプ式とヒーター式で「どれだけ早く乾くのか」「衣類がどう仕上がるのか」といった違いを見ていきましょう。
ヒートポンプ式はやや時間がかかるが優しい仕上がり
ヒートポンプ式は低温乾燥のため、乾燥時間は平均で120〜150分ほどとやや長めです。
ただし、衣類にやさしく縮みにくいため、肌着やウールなどデリケートな素材の乾燥にも向いています。
ふんわりとした仕上がりになる傾向がありますが、タオル類などは乾燥温度が低いため、ふんわり感が出にくいと感じることもあります。
ヒーター式は速乾タイプだが衣類にダメージが出やすい
ヒーター式は高温乾燥であるため、約90〜110分でしっかり乾燥できるスピード感があります。
一方で、熱のダメージが強いため、衣類がごわついたり縮んだりしやすい点には注意が必要です。
また、高温で一気に水分が飛ぶため、タオルなどはふっくら仕上がる一方で、素材によっては硬く感じることもあります。
ハイブリッド式はバランス型でタオルもふんわり
ハイブリッド式は、ヒートポンプ乾燥の途中に補助ヒーターを加えることで、乾燥時間を短縮しつつ、タオルのふんわり感や仕上がりを改善する方式です。
乾燥時間はヒートポンプ式よりやや短く、仕上がりもごわつきにくい傾向があります。
シャープやAQUAの一部モデルで採用されており、「省エネと仕上がりの両立」を求める方に適しています。
スポンサーリンク
使用感の違い|臭い・音・故障リスクなど
日々の使用においては、乾燥の性能だけでなく、「臭いが気になる」「音がうるさい」「壊れやすい」といった使用感の良し悪しも重要な判断基準になります。
ヒートポンプ式は臭いや乾きムラに注意
ヒートポンプ式では、内部に湿気がこもりやすく「生乾き臭」や「臭い戻り」が起こることがあります。
とくに、排湿がうまく行えない環境下では臭いがこもりやすいため、設置場所の換気性能にも注意が必要です。
また、熱量がやや不足するため、分厚いタオルや毛布が乾ききらないケースも一部で報告されています。このため、フィルター掃除やドア開放による定期的な換気が重要です。
フィルター掃除やこまめな換気が対策になります。このため、フィルター掃除やドア開放による定期的な換気が重要です。
ヒーター式は騒音や衣類の傷み、故障リスクがやや高い
ヒーター式は高温での乾燥のため、運転音がやや大きい傾向があり、深夜使用には不向きな面があります。また、長時間運転や過熱によって部品への負荷が大きく、故障や劣化のリスクも高めとされています。ただし、構造自体は比較的シンプルなため、適切に使用・メンテナンスすれば長く使えるケースもあります。
どちらが自分に合う?タイプ別おすすめ
最終的には、自分のライフスタイルに合った乾燥方式を選ぶのがベストです。
ここでは、代表的なユーザータイプ別に「ヒートポンプ式」「ヒーター式」「ハイブリッド式」のどれが向いているかを整理します。
ヒートポンプ式が向いている人
- 毎日のように洗濯する人
- 光熱費をできるだけ抑えたい人
- 衣類の痛みを防ぎたい人(特にウールや化繊が多い家庭)
- 深夜や早朝に静かに使いたい人
パナソニック|NA-LX129D
左開き扉
右開き扉
ヒーター式が向いている人
- 短時間でしっかり乾かしたい人
- 厚手の衣類やタオル類が多い家庭
- 一人暮らしなどで使用頻度が少ない人
- 臭いよりもスピードを重視する人
日立|BD-SX130K
左開き扉
右開き扉
ハイブリッド式が向いている人
- 光熱費とスピード、どちらも重視したい人
- タオルのふんわり感や除菌性能もある程度重視したい人
- シャープやAQUAなどの中位〜上位モデルを検討している人
- 家族のライフスタイルが多様で、乾燥時間が一定でない家庭
シャープ|ES-X12C
左開き扉
右開き扉
代表モデルと乾燥方式の傾向
ドラム式洗濯機を選ぶ際には、どのメーカーがどの乾燥方式を採用しているかも重要な判断材料となります。
ここでは、国内の主要メーカーごとに「ヒートポンプ式」「ヒーター式」どちらを主力としているかを見ていきましょう。
ヒートポンプ式を採用するメーカー
パナソニック・東芝は、主にヒートポンプ式を中心に展開しています。
特にパナソニックの「ななめドラム」シリーズは、省エネ性と衣類へのやさしさを重視したヒートポンプ式設計で人気です。
また、東芝の最新モデルでは湿度センサーを搭載することで、従来よりも乾燥効率が改善された可能性があります。
パナソニック|NA-LX129D
左開き扉
右開き扉
ヒーター式を採用するメーカー
日立、アイリスオーヤマやシャープの一部モデルでは、ヒーター式が採用されていることがあります。
価格を抑えた機種に多く見られ、特にコスト重視のユーザーに適した選択肢です。
日立|BD-SX130K
左開き扉
右開き扉
ハイブリッド式を採用するメーカー
ヒートポンプ式に補助的なヒーターを組み合わせた「ハイブリッド式」は、温度制御の柔軟性と省エネ性のバランスに優れた乾燥方式です。
シャープやAQUAの一部モデルで採用されており、「衣類のふんわり感」「スピード乾燥」「電気代の安さ」のバランスを重視した中位モデルに多く見られます。
ハイブリッド式は、ヒートポンプ式単体では苦手な「厚手のタオルの乾燥」や「湿気残り」の弱点をカバーする設計になっていることが特徴です。
SHARP|ES-X12C
左開き扉
右開き扉
💡ヒートポンプ式とヒーター式の違いだけでなく、ドラム式洗濯機全体の選び方やメーカー別の傾向を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
▶ドラム式洗濯機のおすすめ10選|選び方・後悔しないポイントを徹底解説
スポンサーリンク
ヒートポンプ式 vs ヒーター式 vs ハイブリッド式|比較まとめと結論
ここまでの情報をもとに、ヒートポンプ式とヒーター式の違いを簡単に比較表にまとめ、最後にどちらを選ぶべきかの結論を示します。
比較表
比較項目 | ヒートポンプ式 | ヒーター式 | ハイブリッド式 |
---|---|---|---|
電気代 | 安い(月数百円~) | 高い(最大で2倍ほど) | 中間程度 |
乾燥時間 | やや長め(90〜120分) | 短い(60〜90分) | 中間(80〜100分) |
衣類ダメージ | 少ない(低温乾燥) | 大きい(高温による傷み) | 小さめ(補助ヒーター制御あり) |
除菌性能 | やや弱い(低温のため) | 強い(高温乾燥による効果) | 中間(モデルによる) |
採用メーカー | パナソニック、東芝、 | 日立 | シャープ |
静音性 | 高め(コンプレッサー音) | やや劣る(ヒーターと送風音が大きい) | 高め(設計による) |
壊れやすさ | 構造が複雑でメンテナンスが必要な傾向 | 単純な構造で故障が少ない | モデルによって異なる(中間程度) |
結論と選び方のポイント
省エネ重視・衣類のダメージを避けたい方にはヒートポンプ式がおすすめです。
短時間乾燥・価格重視の方にはヒーター式が向いています。
また、光熱費と乾燥スピードのバランスを取りたい方には、ハイブリッド式という選択肢もあります。
一部の中位モデル(例:シャープ、AQUA)で採用されており、「ふんわり感」や除菌性能をある程度両立したい家庭に適しています。
どの方式にも一長一短があるため、使用頻度・洗濯物の種類・ライフスタイルに応じて選ぶのが最も賢い方法です。
スポンサーリンク
おすすめドラム式洗濯機【乾燥方式別】
ヒートポンプ式のおすすめモデル(省エネ・やさしい乾燥)
Panasonic 最上位モデル|NA-LX129D
左開き扉
右開き扉
Panasonic|NA-LX127D
左開き扉
右開き扉
Panasonic|NA-LX125D
左開き扉
右開き扉
TOSHIBA 最上位モデル|TW-127XP4
左開き扉
右開き扉
SHARP|ES-V12C
左開き扉
右開き扉
SHARP|ES-G11C
左開き扉
右開き扉
スポンサーリンク
ヒーター式のおすすめモデル(速乾)
HITACHI 最上位モデル|BD-SX130K
左開き扉
右開き扉
HITACHI|BD-SW120K
左開き扉
右開き扉
HITACHI|BD-SV120K
左開き扉
右開き扉
スポンサーリンク
ハイブリッド式のおすすめモデル
SHARP 最上位モデル|ES-X12C
左開き扉
右開き扉
スポンサーリンク
※本記事は、各メーカーの公式情報や実際の使用者レビューをもとに作成していますが、使用環境や製品の個体差によって感じ方には差があります。最終的な製品選びは、ご自身の判断と責任でお願いいたします。