乾燥方式の違いとは?ヒートポンプ式とヒーター式の基本構造
ドラム式洗濯機には大きく分けて「ヒートポンプ式」と「ヒーター式」という2種類の乾燥方式があります。
仕組みや熱の発生方法が異なることで、乾燥性能や電気代、衣類へのやさしさにも差が出ます。ここではまず、両者の基本構造について見ていきましょう。
ヒートポンプ式の仕組み
ヒートポンプ式は、空気を温めて衣類を乾かす際に、空気中の熱を再利用する省エネ型の方式です。
冷媒と圧縮機を使って熱を循環させ、低温でも効率的に乾燥が可能です。温風を当てた後、その空気を除湿して再加熱するため、熱エネルギーの無駄が少なく、乾燥温度は約60〜70℃に抑えられます。
ヒーター式の仕組み
ヒーター式は、電熱ヒーターで空気を高温に加熱し、その熱風で衣類を乾かす伝統的な方式です。
乾燥温度はおおよそ80〜100℃と高く、短時間での乾燥が可能ですが、電気の消費量が多く、衣類に対してダメージが出やすい傾向もあります。
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電気代・ランニングコストの違い
電気代は、多くのユーザーにとって選定基準のひとつです。
ここでは1回あたりの使用コストと年間ランニングコストの違いを比較していきます。
ヒートポンプ式は省エネで年間コストを抑えられる
ヒートポンプ式は、熱を循環させる効率的な仕組みにより、1回あたりの電気代はおよそ20〜30円前後に抑えられます。
使用頻度が高い家庭では、年間数千円単位での節約が可能で、長期的に見てお得といえます。
ヒーター式は速乾だが電気代が高め
ヒーター式は高温で一気に乾かす分、1回あたりの電気代は50〜70円ほどとやや割高です。
短期間で乾かしたいというメリットはあるものの、長期的には光熱費がかさむ可能性があります。
乾燥時間と仕上がりの違い
ドラム式洗濯機を使う上で、乾燥時間や仕上がりの質は大切なポイントです。
ここでは、ヒートポンプ式とヒーター式で「どれだけ早く乾くのか」「衣類がどう仕上がるのか」といった違いを見ていきましょう。
ヒートポンプ式はやや時間がかかるが優しい仕上がり
ヒートポンプ式は低温乾燥のため、乾燥時間は平均で120〜150分ほどとやや長めです。
ただし、衣類にやさしく縮みにくいため、肌着やウールなどデリケートな素材の乾燥にも向いています。
ふんわりとした仕上がりになる傾向があります。
ヒーター式は速乾タイプだが衣類にダメージが出やすい
ヒーター式は高温乾燥であるため、約90〜110分でしっかり乾燥できるスピード感があります。
一方で、熱のダメージが強いため、衣類がごわついたり縮んだりしやすい点には注意が必要です。
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使用感の違い|臭い・音・故障リスクなど
日々の使用においては、乾燥の性能だけでなく、「臭いが気になる」「音がうるさい」「壊れやすい」といった使用感の良し悪しも重要な判断基準になります。
ヒートポンプ式は臭いや乾きムラに注意
ヒートポンプ式では、内部に湿気がこもりやすく「生乾き臭」や「臭い戻り」が起こることがあります。
また、熱量がやや不足するため、分厚いタオルや毛布が乾ききらないケースも一部で報告されています。
フィルター掃除やこまめな換気が対策になります。
ヒーター式は騒音や衣類の傷み、故障リスクがやや高い
ヒーター式は高温での乾燥のため、運転音がやや大きい傾向があり、深夜使用には不向きな面があります。
また、長時間運転や過熱によって部品への負荷が大きく、故障や劣化のリスクも高めとされています。
どちらが自分に合う?タイプ別おすすめ
最終的には、自分のライフスタイルに合った乾燥方式を選ぶのがベストです。
ここでは、代表的なユーザータイプ別に「ヒートポンプ式」と「ヒーター式」のどちらが向いているかを整理します。
ヒートポンプ式が向いている人
- 毎日のように洗濯する人
- 光熱費をできるだけ抑えたい人
- 衣類の痛みを防ぎたい人(特にウールや化繊が多い家庭)
- 深夜や早朝に静かに使いたい人
ヒーター式が向いている人
- 短時間でしっかり乾かしたい人
- 厚手の衣類やタオル類が多い家庭
- 一人暮らしなどで使用頻度が少ない人
- 臭いよりもスピードを重視する人
代表モデルと乾燥方式の傾向
ドラム式洗濯機を選ぶ際には、どのメーカーがどの乾燥方式を採用しているかも重要な判断材料となります。
ここでは、国内の主要メーカーごとに「ヒートポンプ式」「ヒーター式」どちらを主力としているかを見ていきましょう。
ヒートポンプ式を採用するメーカー
パナソニック・日立・東芝は、主にヒートポンプ式を中心に展開しています。
特にパナソニックの「ななめドラム」シリーズや日立の「ビッグドラム」シリーズは、省エネ性と衣類へのやさしさを重視した設計で人気です。
ヒーター式を採用するメーカー
シャープやアイリスオーヤマ、低価格帯モデルの一部では、ヒーター式が採用されていることがあります。
価格を抑えた機種に多く見られ、特にコスト重視のユーザーに適した選択肢です。
💡ヒートポンプ式とヒーター式の違いだけでなく、ドラム式洗濯機全体の選び方やメーカー別の傾向を知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
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ヒートポンプ式 vs ヒーター式|比較まとめと結論
ここまでの情報をもとに、ヒートポンプ式とヒーター式の違いを簡単に比較表にまとめ、最後にどちらを選ぶべきかの結論を示します。
比較表
比較項目 | ヒートポンプ式 | ヒーター式 |
---|---|---|
乾燥温度 | 約60〜70℃ | 約80〜100℃ |
乾燥時間 | 長い(120〜150分) | 短い(90〜110分) |
電気代 | 安い(20〜30円/回) | 高い(50〜70円/回) |
衣類への優しさ | やさしい(縮みにくい) | やや傷みやすい |
騒音 | 比較的静か | やや大きめ |
臭いトラブル | 起こりやすい(生乾き臭) | 少なめ |
故障リスク | 低め(冷媒システム) | 高め(過熱による劣化) |
本体価格 | 高め | 安め |
結論と選び方のポイント
- 省エネ重視・衣類のダメージを避けたい方にはヒートポンプ式がおすすめです。
- 短時間乾燥・価格重視の方にはヒーター式が向いています。
どちらも一長一短があるため、使用頻度・洗濯物の種類・ライフスタイルに応じて選ぶのが最も賢い方法です。
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※本記事は、各メーカーの公式情報や実際の使用者レビューをもとに作成していますが、使用環境や製品の個体差によって感じ方には差があります。最終的な製品選びは、ご自身の判断と責任でお願いいたします。